WSC #054 Sea [とらbrindle] 作風や感性まで含め'10年代的ならではの即戦力 「小・中・高までの12年間を通じた通知表で、図画工作や美術では“5”以外をもらったことがなかったでしょ?」というこちらからの問いに対し「えっ……あ、はい」という答えが返ってくることは、質問を投げかける以前の段階で120%確信していた。 |
text by Masahiko ASANO |
しー●19XX年10月19日生まれ。小学3年生~中学生ぐらいまで紙粘土や木彫りで動物を作ることを趣味とし、その後もクラフト系のもの作りを独学で続ける。短大卒業後にデザイン専門学校へ進み、DTPデザイナーとしてデザイン事務所に就職(のちに独立してフリーランスに)。'05年、建築模型の仕事でエアブラシが必要となり、それを購入する際に東急ハンズで型取り材&注型材を見つけ、「……何かおもしろいことができそうな気がする!」と直感的にひらめいたのが造形道へ進みはじめたきっかけ。同年に一般参加者としてワンフェスへ接し、'07年には大好きなミュージシャンのヘッドパーツ(アクションフィギュア装着用)を自作、それを複製&塗装して友人に配ったところ大好評を博し、ガレージキットの世界へ一気に傾倒する。'09年、通販にて購入したフィギュア造形指南書を読み「初音ミクを作る」と決意、フルスクラッチビルド経験がゼロに近しい状態のままいきなりワンフェスへのディーラー参加を申請し、'10年[冬]に“とらbrindle”名義にてディーラー参加を果たし現在へ至る。 |
Webサイト ■ http://trbrindle.exblog.jp |
WSC#054プレゼンテーション作品解説 |
初音ミクとはちゅね from DTMソフト『キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク』 ■ 商品販売価格 「大の音楽好き」と「造形物を創作してみたい」というふたつの気持ちを同時に満たす存在として、運命的に初音ミク(デスクトップミュージック ソフトウェア『キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク』より)と出会った女流作家“Sea”。子供のころからクラフト系のもの作りを趣味としていたものの、いわゆる「フィギュア」然としたガレージキット的造形に着手しはじめたのはわずか1年半ほど前で、プレゼンテーション作品となった“初音ミクとはちゅね”は彼女にとっての第2作目。キャリアにまったく見合わない安定感漂う造形と、「女性ならでは」というありふれた言葉では片付けられぬ清潔感の高いきめこまやかなフィニッシュワークは、好き嫌いを生じさせぬ万人受けする作風と言えるでしょう。PVC製塗装済み完成品として製品化されていても誰も不思議に思わぬほどの完成度の高さを、ぜひともレジンキャストパーツの状態で実感してみてください(商品には両腕のインジケーター用デカールが付属しています)。 |
Seaからのコメント |
ワンダーフェスティバル2011[冬]で、イベントのディーラー参加1周年になります。初めてのフルスクラッチビルド・初めての当日版権申請・初めて販売して手に取ってもらえてうれしかったことを経験してからあまりあいだを空けず、2作目になる『初音ミクとはちゅね』でWSC選出のお話をいただき、正直めまいがしているところです。 |