アーティスト紹介

WSC #088 ハト

[nico-labo]

デジタルとのシンクロ率が極めて高い作風に注目!
「ZBrush世代の申し子」とでも称すべき弱冠22歳

 「1995年1月14日生まれ」ということは、いま現在22歳。'95年と言えば『新世紀エヴァンゲリオン』のTVシリーズがオンエアされはじめた年であり、当時としてはある意味過激極まりなかった同アニメを思春期前期に見入ってしまったがゆえ、思考回路をぐちゃぐちゃにされてしまった若者たちが続出。当時下火と化していた「中二病」なる言葉が再沸騰した年でもある。
 そんな運命的な年に命を授かった若者が、'99年に誕生した『ワンダーショウケース』に選出される時期がいよいよ到来した。そしてなんたる偶然か、それこそ中二病をこじらせていてもおかしくない中学2年生のときに『ニコニコ動画』の「フィギュアを作ってみた」的な動画を鑑賞し、「……ああ、フィギュアって自分で作ることができるんだ!」と感銘を受け、さっそくフィギュア造形に挑戦。そしてその動画にはシリコーンゴム+レジンキャストを使った複製パートも存在したため、「造形したら複製して当然」「複製したらやはり販売するんだろうな」という思考の流れからガレージキットイベントのことを調べはじめ、父親に同意書を綴ってもらいながらなんと高校1年生という立場で『トレジャーフェスタ』にてディーラーデビューを飾るという、早熟の極み的なフィギュア造形ライフをスタートさせるに至ったのだという。
 その後大学の入学祝いで買ってもらったPCにてZBrushを使える環境を整え、TwitterでZBrushに対する情報を収集しつつ、最初は難しすぎて放り投げていたZBrushによるモデリングを大学3年生のときに再開。そして大学卒業寸前だった前回=’17年冬のワンフェスに初ディーラー参加を果たし、初回参加で『ワンダーショウケース』を射止めるというシンデレラストーリーを体現する存在と化した。
 ちなみにハトの造形のどこがどう優れているのか、そこはあえてくどくどと説明する必要はないだろう。実物のフィギュアが全高わずか200mmだとイメージしていただければ、「……ああ、アナログ造形による時代の終焉が近付いているんだな」と感じた人は多数いるはずだし、それゆえに「よし、これを機会にデジタル造形に切り替えよう!」と覚悟を決めた人もいるだろう。逆に、「いよいよ時代が変わったな~……ならば、これからはより趣味性の高いアナログ造形に徹するか」と逆によい意味で割り切ることのできた人もいるのではないか。
 それぐらい、ハトの「デジタルとのシンクロ率が高い造形才能」は抜群に秀でているのだ。
 ……やはり、時代はものすごい勢いで進化している。デジタルモデリングの有するアドバンテージを、我々はもはや無視することは許されないと言えるだろう。

text by Masahiko ASANO

はと1995年1月14日生まれ。父親が鉄道模型好きであったため家庭内での模型趣味理解度が高く、小学生の低学年時から模型雑誌を立ち読みすることを趣味としていた。また、4歳のころからガンプラの組み立てを嗜みはじめるも、そのときは「立体パズルを組み立てている感覚」以上でも以下でもなく、それほどハマることなく終わる。そしてアーティスト解説内にあるように中学2年生のときいきなりフィギュア造形に着手し、高校1年生のときにガレージキットイベントでディーラーデビューを果たす。その後理系の大学に進み、大学1年生のときには早くもデジタルモデリングに興味を抱くことに。さらに同2年生のときにZBrush(4R5)を購入するもあまりにも難しすぎて1年半ほど放置していたのだが、その放置期間中にTwitterでZBrushに関する情報収集を続けたことがあとになって利きはじめ、あるとき突然「……アナログよりもじつはよほど楽なのではないか?」と己の理系脳がZBrushとシンクロしはじめる。今春大学を卒業、フィギュアデベロッパーたる『エルドラモデル』へ就職。今後当面のあいだはプロ原型師としての活動がメインとなるようだ

WSC#088プレゼンテーション作品解説

© Cygames, Inc.




カリオストロ
(セーシュン☆ユニフォームver.)

from スマホ用ソーシャルゲームアプリ『グランブルーファンタジー』
1/11スケール(全高200mm)レジンキャストキット


商品販売価格
ワンフェス会場価格/30,000円(税込) ※ワンフェス会場販売分40個限定
※諸般の都合により、一般販売は行われません


 フィギュア造形を中学2年生でスタートさせ、高校1年生で早くもディーラー活動を体験したという早熟極まりない存在である“ハト”。そんなある意味「造形エリート」である彼が大学生のうちにZBrushの使用方法を覚え、大学卒業寸前であった前回('17年冬)のワンフェスにZBrush造形による作品をもって初ディーラー参加を果たし、そしていきなり『ワンダーショウケース』に選出される──よくも悪くも「いよいよそういう時代が到来したんだ」と感じさせる才能でもあります。
 なお、プレゼンテーション作品となった『カリオストロ(セーシュン☆ユニフォームver.)』(スマホ用ソーシャルゲームアプリ『グランブルーファンタジー』に登場するキャラクターのひとり)は、前回のワンフェスで展示(未販売)されていた作品にいくつかのパーツを作り足した、「完全版」たる逸品。3DCGによるスカルプトモデリング作品ならではの過剰なまでの作り込み具合(作品を真上から見た際の情報量の高さには必ず驚くはず!)と、作品を360度ぐるりと回転させて見渡してみてもどこにも隙のない空間構成能力の高さにぜひ着目してください。

© Cygames, Inc.


※ハトからのコメント

 どうもこんにちは、ハトというものです。いつかいつかと思っていたら、個人のディーラーを作る前に『ワンダーショウケース』に選ばれてしまいました。なんということでしょう……!
 かつてWSCを夢に見ていたこともありましたが、次第に自分からは遠いものだと思うようになっていたため、ワンフェス当日にあさのさんから名刺をいただいたという話を聞いたときはうれしさ2割疑惑8割くらい(このときちょうど卓を離れていました)で、後日WSC選出のお話をいただいたときはしばらく現実味を感じられなかったのを覚えています。
 さて、この度選出していただいたカリオストロですが、『グランブルーファンタジー』というゲームの中でも特別に思い入れがあるキャラクターで、とあるイラストレーターさんがきっかけで好きになり、その後カリオストロのためにゲームをはじめたという経緯すらあります。
 キャラクターの魅力とは何でしょう? 自分はそのキャラクターだけで完結する要素(例えば性格とか声とか)だけでなく、他のキャラクターとの関係性や、時間的・空間的前後関係を含んだ「そのキャラクターがいる世界」まで含まれると思っています。そんなカリオストロの「世界」を表現したいと思ってあれこれ頭をひねらせたので、その「世界」の雰囲気を少しでも感じ取ってもらえれば幸いです。
 また、今作のカリオストロを通して自分が作りたいものの方向性が明確に定まったという手応えを感じることができました。今後もキャラクターの世界を表現できるような作品作りをしていこうと思います。
 なお、自分がここまで来ることができたのは、当然自分だけの力ではありません。ZBrush勉強会をすると声をかけてくださった増宮さん、それに同席していた皆さん、塗装について助言してくださったふるパワ~さん、どうもありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
 また、前述の方を含むエルドラモデルのみなさま、これからもよろしくお願い致します。